富山市を行政視察

自由民主党相模原市議団行政視察

1 富山市

 1.シティプロモーション推進事業について

 2.自転車市民共同利用システムについて

   日時:平成30年10月16日 13:30〜

   場所:富山市議会 議会会議室

  富山市は、平成17年に7市町村による新設合併を経て、市域総面積1,242,77㎢、人口417,227人の県都である。北陸新幹線の開通で、首都圏からのアクセスが大変に向上したことから、経済面およびインバウンド効果が表れている。

(1)シティプロモーション推進事業について

  富山市企画管理部広報課 シティプロモーション推進係長 相川氏より説明を受けた。

 富山市は、少子高齢化・人口減少社会に対応するため、定住人口を増やすため、市の魅力の再発見と発信を進めるシティプロモーションと、市民の郷土愛・まちの誇りを醸成するシビックプライドの推進を図っている。

平成18年からスタートした当初は、戦隊ものや、ゆるキャラでのプロモーションを展開している。平成20年にイメージギャップ調査を実施し、シティプロモーション推進懇談会の議論を経て、平成21年にシティプロモーション推進計画の5ヵ年計画を策定している。

シティプロモーション推進事業としては、情報発信を雑誌、ミシュランガイドへの掲載をはじめ、メジャーなアニメ制作企業とのコラボによる「富山市立探偵ペロリッチ」をイメージモデルとしてショートムービーを制作し、SNS等での配信による普及を図っている。過去に市で制作したショートムービーのアクセス数が年間300回程度であったものが、メジャーアニメである「秘密結社鷹の爪」の効果で、年間1万回を記録している。また、富山空港に乗り入れしているANAグループと連携協定を締結し、CAサミットの開催や機内誌への掲載、PR映像の首都圏への展開など情報発信にも力を入れている。

シティプロモーションの推進には、シビックプライドの醸成による相乗効果が効果的との判断から並行して展開を進めている。

シビックプライドの主な事業では、市民が当たり前として享受していたものが、改めて驚きのある新鮮なものとして感じられるためのキーワードとして「AMAZING TOYAMA」をキャンペーンテーマに据え、モニュメントの設置によるインスタ映えのする名所の創出、まちなかの広告パネルの活用(全国の屋外広告コンテストで3位)、プロカメラマンとの連携によるフォトクラブのワークショップや市内小学生対象のワークショップなど写真媒体の活用等を行っている。

〔所見〕

シティプロモーション事業、シビックプライド事業は、今後に予想される人口減少という課題に向けた施策として、各自治体において推進計画の策定や事業展開が図られているが、費用対効果や効果の数値化が難しい施策でもある。

富山市では、平成29年に指標調査を行い、事業の見極めを図ったが、施策により、例えば定住促進について、どの位の人数が伸びたのかなど施策の効果がストレートに反映されているのかの判断が付かないという。

選ばれる街には、必ず理由がある。今ある資源の確認に加え、新たな魅力を探り、人の心を揺さぶる何かを見つけることが施策の柱の一つになると思った。富山市のショートムービーの制作のように、ゼロから創ることが難しければ、メジャーなアイテムをとの連携も手法の一つと認識した。

本市における取組の精査とともに、アイデアの提案も検討したい。

富山市の施策担当者は、「選ばれる街は、総合力の高いまち」と結んだ。

(2)自転車市民共同利用システムについて

富山市環境部環境政策課 企画係長 松本氏より説明を受けた。

富山市は、人口減少社会に対応し、持続可能な都市であり続けるため、「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」を推進している。

コンパクトなまちづくりのためには、人口誘導が必要ということで、都心地区・公共交通沿線居住推進地区の設定を行っている。施策の推進には公共交通の活性化が合わせて必要なことから、全国に先駆けてコミュニティサイクルを本格導入では国内初めて取り入れた。

導入システムは、「アヴィレ」で、フランスのパリに本社を持つJCDecaux社の日本法人MCDecaux株式会社から、ソフト・ハード共に海外展開のものと同じシステムである。

現在23か所のステーションに、255台の自転車を配置している。

事業実施者は、シクロシティ株式会社(JCD社100%出資の日本法人)。契約期間は20年間で、導入自転車は20年間使えるものとされ、パーツ等の交換修理メンテナンスも契約に含まれている。社員は4名。

事業スキームは、PPP(官民連携)で、富山市が初期投資となる設置費用(1憶5000万円)を負担。その後は、市は一切負担をしない。初期投資のうち1憶4850万円は、国の補助金を活用していることから、市の負担は150万円。

事業実施者は、コミュニティサイクル事業の収益に加え、主たる収益は屋外広告事業で、バス停上屋への広告掲示など全国展開をしている。

「アヴィレ」の特徴は、①24時間365日利用可能。②無人ステーション。③ステーション数が多い。④乗り捨て可能。⑤海外で展開されているシステムを輸入運用。⑥民設民営。

〔所見〕

自転車市民共同利用システム(シェアサイクル)は、レンタサイクルと違い、利用者にとっての融通性が高く、短距離・短時間利用を想定していることから、公共交通を補完する機能を持っている。

導入には、利用の多い場所へのステーションの設置が必要となるが、視認性などから道路脇の歩道上が好適なようだ。しかし、ステーションに必要な幅に加え、4mの歩道通行幅を合わせて、6mの歩道幅の確保が必要となる。本市の歩道の設置状況からは、導入への課題が散見される。市民にとって利用しやすい交通手段として期待されるものだが、なお継続して研究したい。

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