長野市を行政視察

自由民主党相模原市議団で行政視察を行いました。

2 長野市

 市役所第一庁舎及び長野市芸術館建設事業について

日時:平成30年10月17日 9:30〜

場所:長野市議会 第2委員会室

長野市は、人口37万人の県都である。2020オリンピック、パラリンピック開催に向けて市ではデンマークの事前キャンプ地となり、長野県は中国の事前キャンプの受け入れを行うこととなっている。

(1)市役所第一庁舎及び長野市芸術館建設事業について

庁内検討の後、平成18年から平成20年度まで、在り方懇話会を開催(民間14名、公募3名)。平成21年度から平成23年度まで、21回の市民会館建設検討委員会を実施している(民間12名、21公募3名)。平成22年度には、市民会館市民ワークショップを発足させ、平成25年4月まで,計54回開催(公募市民40名と建設検討委員会より5名参加)。平成23年度から平成24年3月には、庁舎市民ワークショップを8回開催(公募市民16名、市職員6名)。平成23年度から24年度に、設計。2施設の分離建設と合築についてコンペによる募集を行っている。平成25年度工事着手、平成28年1月に第一庁舎開庁、5月に芸術館会館。芸術館は、新長野市民会館として、音楽主目的「メインホール」(1,292席)と、「水曜昼間のクラシック」等に利用される音楽専用の「リサイタルホール」(293席)、小劇場の「アクトスペース」(200~300席)は、演劇・ダンス・ロックコンサート・プロレス興行にも使用される。創造支援部門の市民文化創造活動センターには、「リハーサル室」、音楽・演劇・バンドの各種練習室やアトリエを設置。アートマネジメントセンターには展示サロン、情報ライブラリーを設けている。

管理形態は、指定管理で平成25年に一般財団法人 長野市文化芸術振興財団を設立。芸術監督に久石 譲氏を迎え、経験や実績の豊富な経験のある職員を配置している。

施設の特徴は、ガス式ヒートポンプの採用と太陽光発電を組み合わせ、旧施設に比べ、ガス使用量を半分に抑えていること。合わせて、第一庁舎西側には表玄関となる広場が整備され、桜の植樹に囲まれた芝生広場や駐車場(4か所の平面駐車場、一か所の立体駐車場で674台駐車可)に加え、マンホールトイレやソーラー街灯(携帯充電、wi-fi機能)、応急給水装置、かまど収納ベンチなどの災害対応機能も持たせて大規模災害時の市民の一時避難場所としている。

市民会館の建設地については3候補地について検討が進められ、結果として旧市民会館の所在した市役所隣接地に決定されている。

市役所第一庁舎及び長野市芸術館建設事業については、平成18年の耐震診断により旧市役所及び旧市民会館の耐震性が確保されていない状況から、対策事業をスタートしている。

長野市総務部庶務課 山口氏,一般財団法人 長野市文化芸術振興財団 事務局長 石坂氏より説明を受けた。

施設協賛パートナー(企業)からは、年間2,000万円の協賛金がある。

〔所見〕

公共施設の老朽化対策は、地方自治体での課題となっている。大規模改修・長寿命化・耐震改修工事など現行施設の維持活用を基本に、建替えを含めた検討が進むものと思う。長野市の事例では、耐震性の不足を対策工事にかかる費用と建替えにかかる費用の差異、現行施設の求められる課題に対応した建替えた場合のメリットなど、庁内検討の後、検討会やワークショップ、パブリックコメントを数多く開催し、内容の詰めを行っていることが確認できた。

公共施設は、建設後に長期間の使用が求められる。市民の期待に応える機能とランニングコストとのバランスを見極めた検討が必要であるが、市役所庁舎という日常の世界と市民会館機能という非日常のイメージの違いを合築することには、長野市も指定管理者も苦慮しているようだ。

また、音響の素晴らしさを前面に出したメインホールだが、客席のシート配置には、一部の死角や、向きに破綻があったことも現地の説明で紹介されたが、事前の検討段階で見落とされたようだ。

現地での視察により、具体的な状況を担当者から詳しく確認することができた。本市の施策研究の参考にする。

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