地域で取り組む認知症問題 研修

報告日2016年 2月3日
報告者名渡部 俊明 議員
参加者名須田 毅  議員、寺田 弘子 議員、山口 美津夫議員、渡部 俊明 議員
視察先又は研究会等名称地域で取り組む認知症問題 研修
視察期間又は開催日2016年1月28日
場所ワークピア広島
時間1月28日(木) 14:00 ~ 16:30
主催者一般社団法人 行政改革推進協会
講師宮本 正一(医療・健康問題研究所代表)
内容・所見等研修テーマ
地域で取り組む認知症問題
*そもそも認知症とはなにか
*介護保険制度における認知症
*議員としての関わり方
*認知症問題の取り上げ方



1. そもそも認知症とはなにか
* 脳の正体
 脂質60%・タンパク質40%で、150mlの脊髄液に浮く、体重の2%程度の重さの物質。
 人間を含めた動物の脳の性能は重さに比例せず、その動物の特性による。

* 脳の原動力
 ブドウ糖が唯一の脳の原動力であり、炭水化物の摂取により分解された糖がすぐに脳の原動力となる。
 過度な低炭水化物ダイエットなどは、脳機能の低下を招く他、認知症発症の度合いも高くなる。
脳内には百数十種類もの神経伝達物質が存在し、快感を引き起こすホルモンドーパミンは中脳から前頭連合野へ伸びているA10神経系 を通じて放出される。過度なストレス状態になると、この放出が止まり脳の機能低下を招く。

* 認知症とアルツハイマー病
 認知症とは症状の事で、アルツハイマーは病名。
 認知症を大きく分類すると、4つの分類に分かれる

① アルツハイマー型認知症
 脳の委縮が出現し、即時記憶・近接記憶が低下する。
 遠隔記憶が残存しているので、記憶を活かした活動が重要。
② レビー小体型認知症
 たんぱく質がたまり、脳神経細胞が徐々に減少する。
 幻視を訴えられたら、話をあわせて安心させてあげる事が重要。
③ 脳血管性認知症
 脳血管障害により脳が部分的にダメージ(懐死)を受ける。
 消極的な生活が見られるので、様々な活動への参加を促進する。
④ 前頭側頭葉変性症
 前頭葉・側頭葉の委縮が出現、自発性・社会性が低下する。
 常同行動を強引に止めさせず、笑顔で対応する事が重要。



2. 介護保険制度における認知症

 介護保険制度は、高齢化の進展に伴い要介護者の増加・介護機関の長期化、核家族化の進行・介護する家族の高齢化等の状況変化に対応すべく、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、自立支援を理念とし、利用者本位・社会保険方式を採用した老人福祉・老人医療制度に替わる制度として創設された。
 
* 介護保険制度の基本的な仕組み
 公費50%(国:25%、県:12.5%、市町村:12.5%)と保険料50%(第1号保険料21%(65歳以上)、第2号保険料29%(40~64歳))の財源から成り、第1号被保険者(65歳以上)は原因を問わず要支援・要介護状態となった場合に、第2号被保険者(40~64歳)は末期がんや関節リュウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態となった場合に受給対象となる。
 但し、若年性認知症の増加により、第2号被保険者の受給要件の見直しが注目される。
 介護保険制度は3年毎に事業計画の見直しが行われるが、高齢化の進展に併せ給付額・保険料が増加している。

* 介護保険制度の現状と今後
・要介護認定者数は年々増加の一途を辿るものと推定されている。
・75歳以上の高齢者の割合は2055年には25%を超える見込み。
・65歳以上の高齢者のうち、「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の高齢者が増加していく。
・介護費用は、現状の9兆円から2025年には20兆円になる見通し。


3. 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)について
≪新オレンジプラン 7つの柱≫
 ・認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
 ・認知症の様態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
 ・若年性認知症施策の強化
 ・認知症の人の介護者への支援
 ・認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
 ・認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
 ・認知症の人やその家族の視点の重視

4. 議員としての関わり方・認知症問題の取り上げ方
* 行政に対するスタンス
* 会派のスタンス
* ジェネラリストかスペシャリストか

* 認知症問題の取り上げ方
 ・第2号被保険者の受給要件見直し
 ・地域支援事業
 ・認定調査の特記事項
 ・市独自のオレンジプラン
 ・認知症サポーター養成講座
 ・認知症の早期診断
 ・若年層認知症の居場所づくり
目次