研究研修・調査報告書(熊本市役所視察)

報告日2015年8月18日
報告者名渡部 俊明
参加者名山岸一雄議員、古内明議員、渡部俊明議員
視察先又は研究会等名称熊本市役所
視察期間又は開催日2015年7月8日~7月9日
場所熊本市役所
時間内容欄に詳細記入
講師下記報告内に記載
内容・所見等熊本市役所 7月8日 13:30 ~ 16:30 視察事項説明

研修テーマ
防災サポーター制度
*熊本市消防局の概要
*熊本市消防団の概要
*機能別団員 防災サポーターについて
説明者:消防局消防課 消防指令長 山口 裕史 氏

災害情報トリアージ
 *危機管理・防災対応について
  説明者:危機管理防災総室 副室長 柴垣 正刀 氏

 研修テーマである上記項目について一括説明


(1)

防災サポーター制度

1. 消防局の概要
 1局 5消防署 16出張所 2庁舎
 定数:5,338人に対し、実数:4,930人となっている。
 市町村の合併により、平成25年より現在まで数度の管轄区域の変更・設備の新増設等を行っている。

2. 消防団の概要
 1団 16方面隊 87分団 1トランペット隊 207部
 定員:5,338人に対し、実員:4,930人となっている。
 内202人が女性団員であり、女性のみの分団が2分団ある。

3. 機能別団員「防災サポーター」について
(1) 防災サポーターの趣旨・目的
 経緯
消防団は「自らの地域は自ら守る」という郷土愛護の精神に基づく地域住民を中心とした組織で、地域防災の要として大きな役割を担っており、平成23年の東日本大震災時に改めてその役割・重要性が認識された。
この様な状況下、平成25年12月に「消防団を中核とした地方防災力の充実強化に関する法律」が制定され公布・実行された。
法律の制定に伴い、熊本市消防局として「消防団員の確保」を目指すほか、熊本市内に主要8大学が分散し各大学の周囲に学生が数多く居住している事に着目し、学生に対して若さと実行力・専攻する知識を活用すると共に、地域防災への参加促進・卒業後の消防団員としての参加促進を図るほか、将来の地域防災のリーダーとなる事への期待から、大学生等を中心とした機能別団員「防災サポーター」制度を創設した。
平成24年7月の水害時、多くの学生たちが復興活動に参加してくれた事にも着目し、平成25年より各大学に出向き「防災サポーター制度」の説明会を開くとともに、リーフレットやポスター掲示をして募集を募り、平成26年4月1日付けをもって創設された。

(2) 機能別団員「防災サポーター」任用資格(男女問わず)
 ・熊本市内の大学等に在学する者(居住地については市内外を問わず)
 ・担当する役割において最低限の知識・技術を有するもの


(3) 機能別団員「防災サポーター」の役割
     風水害及び地震等の災害が発生し、指定の避難所等が開設された場合に、消防局からの要請(消防団長命)により支援補助活動を実施するもの。
① 応急救護班:負傷者等への応急手当及び病院や応急手当場所への搬送補助。
② 情報収集班:災害対策本部等へ避難状況等の連絡補助
③ 物資管理班:備蓄物資又は救援物資の管理補助
④ 物資配布班:備蓄物資又は救援物資の配布等補助
⑤ 通訳介護班:外国の方への通訳及び高齢者等への介護補助
     「防災サポーター」は、普通救命講習受講及び避難所設置模擬訓練等、年間に数回の訓練を実施するほか、熊本市総合防災訓練にも参加している。
     また、予備知識習得として熊本市消防団操法競技大会の見学を実施。

(4) 「防災サポーター」の処遇(所属・階級・報酬等)
     防災サポーターは地域の基本団員とは異なり、大学生等を中心とした団員で、学生が無理なく活動出来うる範囲として、避難所開設時等に限定した対応を役割としている。
① 基本分団員(地域分団)と区別するため、本部付団員とし任期は4年とする。
② 被服については、専用の活動服(ベスト・アポロキャップ)を貸与する。
③ 階級は全員を団員と固定するが、各班にリーダーを置く。
④ 年報酬(8,000円)、費用弁償(2,600円)の支給と、公務災害補償を適用する。
⑤ 機能別団員を一般的にもわかり易くする為に、通称「防災サポーター」とする。

(5) 「防災サポーター」各大学別入団者数
     入団者総数 : 168名
① 熊本大学    男性:17名、女性: 7名 計 17名
② 熊本学園大学  男性:24名、女性:28名 計 52名
③ 崇城大学    男性:17名、女性:49名 計 66名
④ 熊本県立大学  男性: 7名、女性:17名 計 22名
⑤ 国立病院機構熊本医療センター付属看護学校
                      女性: 1名 計  1名


(6) 「防災サポーター」訓練・活動等スケジュール
     4月 4月期入退団
     5月 熊本市総合防災訓練参加、普通救命講習会
     7月 通常点検大会見学
     8月 普通救命講習会
    10月 10月期入退団、規律訓練・避難所模擬訓練
    12月 出初式参加
     1月 普通救命講習会
     3月 リーダー対象年間講習会

(7) 活動業務要綱・規定について
     「防災サポーター」が活動を行うことにより、災害による被害の軽減と市民の防災に対する意識の高揚を図り、地域防災の向上に寄与する事を目的に「熊本市消防団機能別団員活動業務要綱」を定めている。

     在学中に真摯かつ継続的に熊本市消防団として活動に取り組み、地域社会へ多大なる貢献をした大学生・大学院生・専門学校生および卒業生について、熊本市長がその功績を認証することにより就職活動を支援することを目的に「熊本市大学生等消防団活動認証制度に関する規程」を定めている。

「所見」
 過去の水害時に多くの学生達が復興活動に協力してくれた事に着目し、若い行動力を地域防災に結び付ける、その着眼点に学びを得た。
 風水害・地震発生時は公設の手も足りなくなる事が予想され、地域に居る若い力を活用することは、全ての地域において重要なポイントになると考える。
また、「防災サポーター」の取り組みは、将来の消防団の確保にも寄与されると考えられる事から、全国の模範となる事例である。
 本市内でも自治会単位での地域防災組織はあるが、年々高齢化が進む中で実際に動ける方がどれだけ居るか、との地域からの不安の声も聞いている現状である。
 本市には熊本市までの多くの大学は無いが、市内の大学生を含む若手世代への呼びかけにより、地域防災の一助を担える人材の発掘が必要であると感じた。
 熊本市の事例を参考に、本市独自のサポーター制度の創設に向け、検討していく事が必要だと感じた視察であった。



災害情報トリアージ

1. 熊本市街地の概要
   阿蘇山周囲から流れてくる川が合流し出来た「白川」が、熊本市中心市街地を通り海へと流れている。
   白川へは火山灰を含む水が流れてくるため、火山灰が川底に堆積し川底が浅くなってくる為、定期的な川底の浚渫を行っている。
   熊本市中心市街地辺りの白川は蛇行しながら流れている。
   白川の川底への火山灰堆積と周囲堤防の盛り土により、白川の水位よりも市街地の方が低い状態となっている。
   昭和28年に、白川の氾濫による水害を経験しており、白川周囲の堤防を嵩上げしている経緯あり。

2. 平成24年7月12日 九州北部豪雨について
   本州付近に停滞した梅雨前線に向かって南から非常に湿った空気が流れ込み、九州北部を中心に大雨となった。
  (最大1時間降水量:124ミリ、4時間降水量:408ミリと、記録的な豪雨となる)
降雨は白川上流の阿蘇谷付近に特に集中し、市街地の降雨が少ないにも関わらず、降雨から3時間後には白川の水位が氾濫危険水位を上回った。
   同時刻に、一部地域に避難勧告を発令。
   順次、避難勧告発令の範囲拡大、避難指示発令に切り替え実施。
   降雨から5時間後あたりから白川が氾濫。
   市水防本部の電話(13回線)は、住民からの要請電話が鳴りっぱなしの状態となる。
   降雨から7時間後、ヘリによる救助活動が開始された。

3. 市水防本部の状態
  ・被害が無いか少ない地域から、早期に大量の情報が寄せられる
  ・大量の重要度が低い情報の中に重要度が高い情報が紛れ込む
  ・混乱した対策本部は到着順に処理を行う
  ・大量の情報処理に時間を要する
  ・対策本部や現場は迅速な対応をしようとする傾向になる

  結果
  ・少数だが重要な情報の伝達が遅れる
  ・被害の少ない地域に人員や資機材が投入される
  ・大きな被害の地域への資源(人・物)の投入が遅れる


4. 市水防本部の問題点と解決策
 問題点
  ・鳴りっぱなしの電話に冷静な判断が不能になる
  ・被害の重要度ではなく被災者の訴えの強さに左右される
  ・水防本部/消防局/消防団の情報共有が不十分
  ・大量の情報の中に避難発令に結び付く重要な情報が埋没
  ・全ての被災者を同時には救済できない事実の認識不足
  ・情報の分別が不能になり到着順を優先する

 検証の必要性
  ・情報の共有
  ・伝達体制の確立
  ・情報の重要度・優先度の仕分け

 避難指示等のあり方に関する検証部会の設置
  熊本市の防災体制強化に向けた具体的対策(対応方針)を決定
  ・情報収集および共有体制の強化
  ・適切な意思決定の実施環境の整備
  ・情報伝達体制の強化
  ・自主防災意識の更なる涵養

 適切な意思決定の実施環境の整備
① 防災対策指揮室の設置
② 情報のトリアージ(優先度の選別)体制の整備
③ 避難勧告等発令基準の見直し
④ 防災従事職員のスキル向上のための訓練実施

 作成物
① 災害時 医療活動用トリアージタグ
② 災害情報トリアージ用紙

5. 現状の活用
災害情報トリアージ用紙を使用し、情報の重要度分別を実施している。
  地域版ハザードマップを作成
  自助・共助・公助の連携協力を推進



「所見」
 災害発生時の情報処理は、被災者救済への重要な糸口となる。
 熊本市の事例では、情報が錯綜し重要な情報を迅速に処理できなかった事の反省から対策を講じたものである。
 本市においては、災害緊急情報システムが確立されており、災害対策本部設置時には一度に集中する119番通報の補完や、各種災害情報の伝達、共有化が図れている。しかし、大規模な災害が発生していない本市においては、システム使用の訓練が重要であり、また、ツイッターによる情報発信・ひばり放送テレフォンサービス・防災情報メール配信など、広く市民に利用して貰えるシステムの周知・利用への理解を図る事が、今後の課題と捉える。









熊本市役所 7月9日
09:30 ~ 11:00 視察事項説明

研修テーマ
公共サービス民間提案制度
*熊本市公共サービス民間提案制度について
*熊本市公共サービス民間提案監理委員会
*熊本市公共サービス民間提案制度(モデル事業)に係る提案の審査結果
*平成25年度 簡易提案公募要項
*簡易提案審査結果について
*簡易提案に対する熊本市の検討結果について
*平成25年度 詳細提案公募要項
*詳細提案審査結果について(答申書)
*詳細提案に対する熊本市の検討結果について
説明者: 氏

研修テーマである上記項目について一括説明

1. 熊本市公共サービス民間提案制度について
  ・市の事務事業について、民間の能力およびノウハウ、あるいは創意工夫を活かした提案を募集し、市と民間の手法を比較することによりサービス提供の担い手を最適化することで、効果的・効率的なサービスの提供を図る事を目的としている。
  ・市が実施している全ての事務事業について、幅広く情報を開示し、提案を募集している。ただし、許認可・監督処分・政策の企画立案・意志決定業務・法令の規定により市が直接実施すべき業務は除外としている。
   また、市が定めるアウトソーシング計画に揚げる業務も対象外。
  ・期待できる効果
① サービス提供の担い手の最適化
② サービスの質の向上
③ 職員の意識改革(客観的視点の醸成)
④ 経費削減
⑤ 地域経済の活性化、雇用の創出

 熊本市公共サービス民間提案制度の流れ
市から簡易提案を公募 
⇒民間事業者から簡易提案を提出
   ⇒監理委員会へ諮問 ⇒ 答申
    ⇒市から詳細提案を公募
      ⇒民間事業者から詳細提案を提出
       ⇒総合評価審査会へ諮問 ⇒ 答申
        ⇒事業実施者を決定
         ⇒契約締結・事業開始
          ⇒モニタリング・事業評価

2. 熊本市公共サービス民間提案監理委員会
構成委員は以下の通り
① 学識経験者(熊本県立大学 准教授)
② 弁護士  (法律事務所)
③ 公認会計士 (公認会計士事務所)
④ 経済団体管理者(熊本商工会議所女性会 理事)
⑤ 労働団体関係者(連合熊本 熊本地域協議会 副議長)

3. 熊本市公共サービス民間提案制度(モデル事業)に係る提案の審査結果
・市税初期滞納対策事業を公募(機関:一か月間)
・提案件数:2件
・審査結果:民間企業B社提案を採用

・審査の視点
① サービス水準の向上
② 経費の妥当性
③ 法令順守等
④ 提案の実現可能性
⑤ 提案の独自性

   提案内容は民間事業者のノウハウや経験を活かしたアイディアが盛り込まれており、かつ、現実性があるため徴収率の向上に期待できる。また、実施体制に不合理な点はなく、個人情報の管理体制及び情報セキュリティー体制も十分であり、提案内容にかかる経費についても妥当であることから、B社の提案を取り入れた。

4. 平成25年度 簡易提案公募要項
市の事務事業について、民間の能力およびノウハウ、あるいは創意工夫を活かした提案を募集し、市と民間の手法を比較することによりサービス提供の担い手を最適化することで、効果的・効率的なサービスの提供を図る事を目的として募集する。


① 提案を募集する事業
   市が実施している全ての事務事業について、幅広く情報を開示し、提案を募集している。ただし、許認可・監督処分・政策の企画立案・意志決定業務・法令の規定により市が直接実施すべき業務は除外としている。
   また、市が定めるアウトソーシング計画に揚げる業務も対象外。
② 提案者の比較
民間企業・特定非営利活動法人等の法人格を有する団体。
制度の趣旨を理解し、受託して実施する意向のある団体。
提案事業を実施する事ができる組織や人員体制を保持していること。
③ 公募要項の配布時期
平成25年5月2日~6月5日の土日を除く8時30分~17時15分まで
④ 提案方法
熊本市公共サービス民間提案制度簡易提案書様式にて提出
提出先 :熊本市総務局行政経営課
提出部数:2部
提出方法:直接持参もしくは郵送(電送 (FAX・メール)によるものは不可)
⑤ 提案の取り扱い
提案内容を活用し、市が仕様書作成を行う場合は無償で使用する。
提案書は返却しない。
民間委託の可否の選定に使用するものであり、受託の選定に使用するものでは無い。
⑥ 公募要項に関する説明会
参加人数は1団体につき2人まで、共同提案団体については1共同体につき2人までとする。
⑦ 質問の受付及び回答
   熊本市公共サービス民間提案制度簡易提案質問票様式い記入の上、FAXまたは電子メールにより提出。
   回答は、熊本市ホームページに掲載する。
⑧ 提案に対する評価の視点
・民間委託実施の視点
     一部事業者の独占とならず、市場競争が確保されるか
     事業継続ができるよう経営基盤が安定的な民間事業者が複数存在しているか
     市が直営で実施するよりも効果的・効率的か
   ・サービス水準の向上
     サービス水準、質の向上につながるか。
   ・法令順守
     民間委託を実施するにあたって、支障となる事項はないか。

   ・提案の実現性・効率的実施
     趣旨に沿った提案であるか。
     提案内容の実現性はあるか。
⑨ 提案の検討と結果の公表
熊本市公共サービス民間提案監理委員会にて採否の審査・検討を実施。
提案の概要をホームページで公表(公表内容は提案者と要調整)
⑩ 事業実施について
・民間委託が可能と判断された事業について、詳細提案の募集を実施する
   ・提出された詳細提案を再度監理委員会にて市側の提案との官民比較審査を行い、採否を決定。
   ・事業実施者の募集を行い、総合評価審査会もしくはプロポーザル審査会にて事業者を選定する。

5. 簡易提案審査結果
  公共サービス民間提案監理委員会にて審議を行い、下記の答申があった。
① 文書集配・保管業務 : 民間開放は可能(文書保存業務は不可)
② 窓口サービス業務  : 民間開放は不可
③ 公設施設管理運営業務: 市民会館・図書館の民間開放は可能
               各センター・放置自転車管理は不可

④ 総務事務業務    : 民間開放は不可
⑤ 債権管理業務    : 民間開放は不可
⑥ 子ども医療償還事務センター : 民間開放は可能
⑦ 一口城主募集業務  : 民間開放は不可
⑧ 軌道事業      :民間開放は不可

6. 簡易提案に対する熊本市の検討結果について
  *文書集配業務、他簡易業務について民間開放を選択
  *他、民間開放に向け検討を継続中

7. 平成25年度 詳細提案公募要項
  前記、民間開放項目について詳細提案を公募した。
  要項については、簡易提案公募要項に準ずる。

8. 詳細提案審査結果について(答申書)
  公共サービス民間提案監理委員会にて審議を行い、下記の答申があった。
① 文書集配業務 : 市の提案を採用
② 浄書管理業務 : 民間事業者の提案を採用
③ 市民サービスコーナー運営業務 : 民間事業者の提案を採用

9. 詳細提案に対する熊本市の検討結果について
  詳細提案審査結果に基づき、市の提案と民間事業者の提案について比較検討し、上記答申書で示された内容で、市/民間の提案内容の採択を行った。


「所見」
民間の能力およびノウハウ、あるいは創意工夫を活かした提案を募集し、市と民間の手法を比較することによりサービス提供の担い手を最適化することは、市の運営に対して行政側の意識改革・ノウハウの構築について有用な手法であると感じた。
各種業務の担い手の最適化は、市の財政改革にも繋がるものと考えられ、財政改革により、その他のサービスの充実に結び付けられるメリットもある。
反面、民間への事業委託(アウトソーシング)は行政側のノウハウの流出にも繋がる事から、行政側の管理監督・指導等の能力が衰退しない様、人材の育成に力を入れる必要がある。
熊本市においても、民間企業提案制度の継続検討に併せ、行政側人材育成を行っているとの事。
本市においても、平成26年12月策定の「相模原市PPP(公民連携)活用指針」の中に、提案型公共サービス民間活用モデル事業を設定しており、この7月に民間企業からの提案を募集している。
平成28年2月頃の結果公表を目途に事業を展開しているが、今後、民間企業からの提案状況や市側の提案審査結果などを踏まえ、モデル事業実施に向けた課題や相模原市の民間活力の活用について注視していきたい。
目次