新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、外出自粛などの要請が進められている。
この様な中にあって、次亜塩素酸水の配布を多くの市民を集めて行う事は、クラスター発生の要因ともなりかねないことから、配布に対する抗議文を市長に提出しました。
市民への次亜塩素酸水配布に対する抗議文
令和2年4月27日
相模原市長 本村 賢太郎 殿
新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的として人の流れを抑制するため、全世界的にロックダウン等の対策がとられ、我が国においても、緊急事態宣言発令下で、ステイホームの標語で、内閣総理大臣、東京都知事、神奈川県知事等が、外出自粛を市民に要請している。
このように緊迫した状況にある中で、本市は、未だ有効性が確認されていない次亜塩素酸水を、市民を集めて配布するという、クラスター発生の原因となりかねない施策を、市対策本部会議の簡易な書面会議という形で決定した上、この施策は市長個人のSNSで、日時や配布場所の詳細な情報が初めて公開されるなど、市の情報公開ルールに逸脱した形で進められており、大変な憤りを感じている。
相模原市議会としては、4月24日の緊急要望において、全会派代表者、正副議会運営委員会委員長及び正副議長の連名で、意思決定や情報提供の在り方が不明瞭であり、改善を申し入れたところである。この要望を受けても、市が次亜塩素酸水の配布について見直しをせずに実施し、クラスターが発生すれば、取り返しのつかないことになる。市民も市職員も大変危惧しているところである。
ついては、次のとおりの理由から次亜塩素酸水の配布について抗議するとともに、実施の見直しを申し入れる。
1 市民を集めた配付によるクラスター発生の懸念
・国を挙げて、市民に外出自粛のお願いをしていることに逆行する。
・市は、クラスターが発生しないように十分な配慮をした配り方をするというが、完全な安全保証はできない。不幸にもクラスターが発生した場合、取り返しがつかないことになる。
・2のとおり、新型コロナウイルスに対する効果が確認されていないものを、そのような危険を冒して配る必要性がない。
2 効果の確認されていない次亜塩素酸水の配布に対する疑問
・政府の答弁では、次亜塩素酸水の新型コロナウイルス感染症に対する有効性が確認されていないとしている。
・次亜塩素酸水は、紫外線に弱く長期保存に適さない。ペットボトルで配布しても、すぐに分解してしまう。
・経済産業省で、次亜塩素酸水について対物品に限って、効果を検証している途上である。また、有機物に触れると分解しやすい性質から、手指に対する持続的な効果について疑問があり、今回の検証の対象ともなっていない。これを、あたかも消毒用アルコールと同等の効果があるかのような期待を市民に抱かせてもよいのか、疑問である。
3 施策の情報公開ルールからの逸脱
・次亜塩素酸水の配布について、市長個人のSNSにおいて、日時や場所等の詳細な情報が初めて発信されている。市の施策については、市の報道発表資料として公式ホームページにおいて公表されるべきものであり、目に余る行為である。これまでも、市の施策について市長個人のSNSにおいて新しい情報が公表されることが散見されており、これは市民に混乱をもたらすもので現に慎むべきである。
・市の対策本部会議に議会局長も参加しているが、今回の件を決定した書面会議から議会局長が外されいる。議会が意見を述べる機会を与えられず、決定事項として知らされたのは、大変遺憾である。
4 今行うべき、真に必要な施策に集中すべきこと
・緊急事態宣言発令による地域経済の急激な減速に対応する、市独自の経済対策を早急に示すことが急務であるのに、効果が確認されていない次亜塩素酸水の配布に財源や人員を割くことに疑問がある。
・市役所も庁内でのクラスター発生防止のため、シフト勤務等による業務の整理に当たる中、真に必要な業務に人員を集中していかなければならないにもかかわらず、この配布に人員を配置することで、真に必要な業務が停滞しないか大いに危惧する。
以 上
自由民主党相模原市議団 団長 中村 昌治